言葉をめぐる旅 plus CRT-D

じぶんの病気の付き合い方を考えるブログ

100 - 7 [入院 #18]

入院してから約1ヶ月、リハビリ病院に転院の日が近づいてきた。脳梗塞になってから、新聞をテキストにして朗読したり、記事を書き写したりしてきたが、言葉の回復は遅々として進まない。自分の意見をいうことも脳梗塞のせいで差しさわりがあるし、文章を書くことも、短文のメールを書くことですら非常に苦労する。仮に退院できて今の状態でどうか。仕事の上で社内、社外の人と話をする事や資料やレポートを書いたり会議に出て発言したりすることは到底無理がある。 今まで積み重ねてきた経験、仕事も言葉が不具合になることによって生じる事象が、この先どうなっていくのか不安で、将来的なこれからの展望も見えない。自分が話をすることができないという不思議さは、いざものを言おうとするときに突如としてやってくる。脳梗塞になる前は、発言するとき、脳のバックグラウンドで瞬時に言葉を見つけ、言おうとしている時には口から言葉が出て来ていた。自分の場合は脳梗塞になった後、自分自身、発言するという行為が、たとえるならストップモーションになってしまって、言葉が出で来るまで非常に時間がかかってしまうのだ。また、言葉を思い出そうと考えるのに、全く言葉が浮かんで来ない場合もある。担当の内科医は、入院した当初は、物の名称も答えられなかったし、計算もできなかったが、これから良くなってくると、希望を持てるような言葉を掛けてくれる。確かに、病室に置いてある「冷蔵庫」、ベッドの脇に置いてある「ティッシュ」、医師がポケットに入れている「ボールペン」などの名称を答えることや、100から7を引いた数、その数から7を引いた数、その数から7を引いた数を計算して答えることは難しかったが、徐々に返答できるようになってきた。今後、リハビリによってどこまで脳が回復していくのか、その可能性を知ることができればと、手掛かりを探し出したい気持ちで今日を過ごしている。