言葉をめぐる旅 plus CRT-D

じぶんの病気の付き合い方を考えるブログ

ラジオ [入院 #28]

会議やミーティングなどでノートにメモを取ること。仕事をする上で全く意識せずできたことも、脳梗塞を発症した後は、そのメモを取るという行為が非常に難しくなっていた。失語症という病気は、人が言う話を聞き取りにくくしてしまう症状がでるようだ。言語聴覚療法の中で、療法士があるテキスト(新聞のコラムであろうか...)を口頭で読み上げ、その内容をノートに書き込むリハビリが行われた。話の内容の理解が、頭の中で時間がかかり、それをメモする事が非常に難しい。漢字を思い出せなかったり、ひらがな、カタカナがぱっと頭に浮かばない。文字だけではなく、数字も聞き取りにくい。年代、日付、時分、金額の数字。頭の中で瞬時に記憶できないせいであると思われる。文字ないし数字等の概念が頭の中で、その切り替えがうまくいかない。話を聞き、それをメモするリハビリ。病室にいる間、言語聴覚療法のリハビリ以外で何かできる訓練はないのか。ラジオを聞いて、その話の内容を頭の中で整理すれば、と思い浮かんだ。スマートフォンのアプリでラジオを聞くには、通信パケット代がそれなりにかかる。病院の外出許可が取れた時、家電量販店でポータブルラジオを購入しようと思った。病室では、他にやることがなければ、購入したラジオを聞くようにした。朝食の時間まで、7時から始まるラジオのニュースを聴き、その話の内容をノートに取ることを始めた。当時の、ニュース聞き取り用のノートを見てみると、最初のページは、聞き取り内容を文にして記録するのではなく、ただ単語を並べただけの記述であった。アナウンサーのニュースの朗読内容を書記できず、株価、為替等の情報も、数字を正確に明記できていない。聞いて文字にすることが、その時、難しい状況であった。