作業療法の時間で、こんなリハビリがあった。新聞の記事を読み、何が書いてあったのか、その内容を療法士に伝えるリハビリだ。だいたい1000字程度の記事を読み、その内容を覚えている限り、療法士に伝える。記憶の中の記事の内容が、幾つものポイントを頭の中で整理できず、時間か経つと、うろ覚えの記事内容が、どこかに行ってしまう。私自身の失語症は、発言することに困難さもあり、それも症状の一つだ。新聞の記事内容を人に伝えるリハビリは、思うように発言できない苦しさが伴う。記憶の中の記事内容を修飾することなく、そのまま記事の要旨をまとめ上げ、それを口頭で伝達するのは、難儀なことであった。新聞記事の内容を要約し、文章として、書くこともリハビリとして行った。これは課題として一日一記事、何らかの新聞記事を好みに選んで、要約して文章として作成し、次の日のセラピーに療法士に見せる。これは紙の上でペンを使って書くのではなく、家にノートパソコンがあれば、それを病院に持ち込み、ワープロソフト等で作成してもいいという。病院の外出許可が出た時、家にあるノートパソコンを病院に持ってきた。病院内の売店では、新聞を売っていないので、その宿題を病室で行うには無理がある。病院内の閲覧可能な新聞は、借り受けて病室に持ってくることは禁じられている。ナースステーションにある新聞を食堂の机の上で閲覧しながら、ノートパソコンで記事の要約を作成するか、ロビーに置いてある新聞を閲覧し、その場所のベンチで、ノートパソコンでラップトップで作業するかのどっちかだ。ナースステーションの前のデイルームは、他の患者や、医師、看護師、療法士と、人が多く、若干騒がしい雰囲気があった。ロビーは、比較的に広く、ゆったりとしている。そこの場所のベンチで、課題をこなし、そこでの時間を過ごす機会が多くなった。