言葉をめぐる旅 plus CRT-D

じぶんの病気の付き合い方を考えるブログ

病棟の廊下の窓、その場所。 [入院 #34]

病室を出ると、病棟の長い廊下の先にエレベーターホールがあり、その窓から下を見ると中庭が見える。ベンチ等はなく、そこでくつろぐ患者や、また、行き交う人も少ないようだ。どちらかというと寂れている場所という印象を受ける。エレベーターに乗って、病棟の最上階に行き、その階の廊下の窓から外を見ると、日によって、天気がいい時は、街の遠くに山々が見える。普段の生活から離れ、何ヶ月かリハビリ病院で治療を受けると、いつの間にか、仕事や人間関係のストレスが薄らいでいく。目の前にある窓の風景も病気である心をリフレッシュしてくれるようだ。その窓の場所には、患者たちが多く立ち止まる。病院での癒やしのポイントでもあるようだ。窓の外を見ていたら、他の患者から話しかけられた。失語症のせいで、他の人と相対することに若干、怯む気持ちがあった。天気の話題、病気の状態、リハビリの回復度はどうか。患者同士の不安とか、取り留めも無い雑談をすることに、言葉が出ることが、少なからず、リハビリの成果なのかなとその時、感じた。失語症の状態は、言語聴覚療法のリハビリのおかげか、少しずつ回復したようでもある。最近では仕事の復帰への意欲も増えたのか、もし復職できたら、いまある言葉の能力をどう活用できるか、そう考えることが多くなった。ただ、自分の会社内の人とはともかくとして、社外の人との会話は、今のところ無理があるように思った。もう少し回復の進歩が欲しいと、心の底でそう願った。ただその回復の近道は、病院の誰かに聞くわけでもなく、自分の脳にリハビリの進捗状況を問いかけるわけでもなく、自分が行く、リハビリの長くて遠い道程を想像するにあたり、退院後の旅路は、険しさを増すのではと感じていた。