言葉をめぐる旅 plus CRT-D

じぶんの病気の付き合い方を考えるブログ

喫茶店にて [入院 #08]

病院の地下1階にある喫茶店に入った。普段、家ではコーヒー豆を挽いて淹れる事が多い。入院して数日、自動販売機の缶コーヒーしか飲んでいないので、淹れたてのコーヒーが飲みたいと思ったのだ。喫茶店のテーブルに座ってメニューに目を通した。ホットコーヒーを1つと注文したが、定員さんは私が何をオーダーしたいのかわからないようだった。もう一度注文したが、私が言った事を聞き取れないようなので、メニューに表示されている注文品を指差し、お願いしますと言った。「何を言っているのかわからない」定員さんの顔を見るとそんな表情をしているように感じ取れた。暫く経つと定員さんが注文したホットコーヒーを、私が座っている席に運んできた。テーブルに置かれたコーヒーを眺めながら、私はホットコーヒーも口頭で注文することができない。と、他人に言葉で伝えることの難しさを改めて感じた。一時でも病室を離れて、少しでもおいしいコーヒー飲み、自分ひとりの時間が欲しいと思ったが、言葉の問題にとらわれ、いつになったら自分に言葉が返ってくるのだろうと、自問自答する私自身が、病院の喫茶店の席に存在していた。