入院時、私が勤める会社に入院のことを妻に連絡してもらった。会話して人とコミュニケーションを取ること、脳梗塞の発症でその会話する能力を遮断されてしまったので、誰かを通してその伝えたいことを肩代わりしてもらうしかない。病室内でテレビの映像を見たり、音声を聞いたり、新聞を読むこと等は普段通り違和感を感じることがないが、言葉を使って何かを伝えること、発言や作文することに困難がある。新聞の記事で解らない言葉があった。ネット検索でその言葉を探そうと思い文字を入力しようとすると、自分には今の時点では肝心な言葉を入力することができないことに気付く。メモ帳に五十音図を書けば思い出すのでは?と思ったが、暫く時が過ぎても手に持ったペンが進まない。スマートフォンでインターネットの検索サービスに言葉を打ち込む時、頭に思い浮かべた言葉を文字入力しなければならない。その仮名文字をどうすれば入力できるのか。五十音の順番が頭の中に入っていないとフリック入力をすることができない。QWERTY配列のキーボードならローマ字が頭の中に入っていないと文字入力することができない。家から国語辞書を持ってきてもらった。国語辞書に載っている五十音図、ローマ字表を参照しながらスマートフォンでネット検索を行う。文字入力に時間がかかるが、何とか検索事項を入力し検索することができるようになった。ベッドの枕の横には国語辞書を置くようになった。入院して数日、たどたどしいが二言三言は話ができ、メールも簡単な文なら時間がかかるが作成できるようになった。